【見捨てられた会社のヤギ】 - がんばって衣食住

【見捨てられた会社のヤギ】

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世話係の入社前からいる「会社のヤギ」

会社のヤギなのに会社の者は誰1人来ない。

新入社員に世話を任せて知らんぷり。

ボッチでヤギの世話をしている孤独で惨めな会社のヤギの世話係。

会社のヤギなのに無賃金はおろか、経費も全部「世話係」の自腹。

 誰からも愛されない、存在すら知られていない。

 何の為に生きているのか分からない、そんな可哀想なヤギ達に、果たして未来はあるのか。

 親も高齢になって来た。

 農地も遊んでしまっている。

 そんな農地を活用して、これから訪れる「超、超高齢化社会」に先駆けて作った「キッチンカー」

 そのキッチンカーで、農地で採れた野菜などを使って、お年寄りに「食料品の移動販売」など出来たらイイなと考えた。

 お年寄りの多い団地で、とりあえず「焼き芋屋」からスタートした横倉農園。

 これまでのトレーラー運転手では、焼き芋屋なんてやってる時間は無い。

 そこで、夜働いて生計を立て、昼間に、農業やキッチンカーを数時間やれたらなと考える。

 そして、タクシー運転手でもやってみるかと転職した先に、ヤギがいた。

 ヤギ牧場から1番近い場所に住む「世話係」が

「会社のヤギの世話係」に任命される。

 水戸の団地で焼き芋屋、をやってからタクシー夜勤、その後、ヤギ牧場でヤギの世話、帰宅後、干し芋、丸干し作り、寝る暇がない。

 「ヤギの世話、1人では荷が重い」と相談したのだが、改善されない。

 会社のヤギのせいで夢を諦めるのも嫌だ。

 タクシーや農業、キッチンカーを頑張るとヤギの訪問がどうしても少なくなった。

 誰にも愛されない、存在すら知られていない可哀想なヤギ達。

 このヤギ達を見捨てるわけにも行かない。

 そこで、せめて、「焼き芋屋」と「ヤギの世話」を一つの場所でする事に。

 一つの場所で行えば、少し時間に余裕ができる。

 「ヤギ牧場」で出店することは、本来の趣旨から外れるが、ヤギ達を見捨てるわけにもいかず、苦渋の決断。

 「ヤギさんと遊んであげてください」の看板を出した。

 心優しい人が、可哀想なヤギ達を可愛がってくれると思った。

 

 しかし、ヤギ牧場に来たのは、心優しい人ばかりでは無かった。

 見えない敵が出現し、ヤギに危害を加えられないか、ご近所さんに迷惑がかからないかと、心配事が増えた。

 そんな中、ナナハが近隣の植物を荒らしているという情報が入る。

 ナナハもロープに繋がなくてはならなくなった。

今まで誰からも愛される事がなかったヤギ達だったが、着々とヤギ牧場にお客様を招く準備が進み、これからは、にぎやかになり、皆んなに愛され、幸せになるだけだと思った。しかし…

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